4月26日 カハス国立公園
4月25日、リオバンバから列車に乗ってアラウシまで6時間もかけて到着。期待していたのに、かなりつまらない列車の旅のショックと移動の間、長時間狭い車内に閉じ込められた疲れで元気が湧いてこない。何とか力を振り絞ってそこからバスで4時間「クエンカ」の町まで向かう。
料金は5ドル、リオバンバからクエンカへ直接向かっても5ドル、6時間も移動したのに料金が変わらないことが腹立たしい。正直この列車の旅は失敗だった。
クエンカのバス停に着く頃には、いくらか腹立たしさは収まったが、今度はお腹がすいてきた。朝からまともにご飯を食べる時間が無かったからだ・・・。
クエンカのバス停はセントロから少し離れている。10時間の列車とバスの移動の疲れで歩くのが面倒くさいと思っていたら運良くこの街のバス停にはホテルの客引きが何人か居る。(エクアドルでは初めての光景。)ホテルまで送ってくれて一泊10ドル。普段は客引きに付いて行かないようにしているが、不安に感じながらもこの甘い言葉に乗ることにした。「ホテル・アメリカーノ」名前はダサいけど結構綺麗なホテル。
宿に着くなり主人が国立公園に行かないかと勧めてくる。宿の主人がツアーを紹介してマージンを稼いでいるのは定番。お金のかかる話しを今は聞きたくないと思ったのでうっとうしいと思っていた。が、話の内容がチョット違う。国立公園に「無料」で入れると言っている。「無料!」 「タダ!」甘い言葉には誘われないようにしているつもりだが・・・次の日の朝、国立公園に向かうことに決めた・・・。

4月26日 朝7時の「マチャラ」行きのバスはカハス国立公園を経由する。このバスに乗るのがベスト。国立公園に向かう通常の旅行者は観光ガイドに載っているとおりに国立公園の入り口で下車。料金(10ドル)を支払う。バスの運転手も、ここで降りろと指示するがそこでは下車せずに「トレス・クルーセス」という場所で降ろしてくれとバスの運転手に伝える。バスは国立公園の入り口から少し走った場所で止まって降ろしてくれる。ここまで1時間。無料になる理由はこれだけ。料金を支払わなくてはならない場所では降りない(払わない)からだ。
無事、料金所を通過してバスを降りる。
「寒い・・・。」
標高4000千メートル弱、富士山の山頂と同じか少し高い標高のこの辺りの気温は低い。バスを乗る前には吐く息が白くなかったのにここでは吐く息が白い。
見渡すと、野生のリャマが何頭か群れを成して草を食べている。
何所までも続く壮大な自然を前に、「綺麗・・・。」「凄い・・・。」ため息の様に白い息と共に言葉が漏れる。
バスを降りた場所から30メートルほど歩くとトレッキングルートの小さい表示が立ててある。そこから舗装された道路を左にそれ、アンテナの立つ小高い丘に登る。
ここからの景色は辺りを一望できてこれから進むトレッキングルートを確認できる。宿の主人から貰った国立公園の地図と照らし合わせてルートを確認。
トレッキングルートは湖を頼りに進み、殆ど道らしい道はない。途中にルート表示の看板も立っていないので地図がないと歩くのは難しい。けど、地図さえ有ればコンパスなんか要らない簡単なルート。
人影は全く無い、動物も殆ど見当たらない、道らしい道も無い。大自然の中に放り投げられた感じ・・・。ツアーやガイドを雇ってのトレッキングでは味わえない壮大さがそこにはある。
山の斜面には幾つか白い線が見える。何所から水が湧き出ているのか小さな細い川が流れていて、それぞれ湖に注ぎ込んでいる。急な山の斜面を流れるせいでどの川も白く見える。
一歩一歩、歩くたびに息が切れる。「ハッ、ハッ」と呼吸をする度に冷たい空気がのどを通って肺いっぱいに満たされるのに、身体に酸素の行き渡る感覚がない。
疲れると岩の上で寝転んで休憩をする。空を見ると日本で見ていたそれとは比べ物にならないくらい広い・・・。青い・・・。雲が近い・・・。こんな空が日本の都会にも有ったら・・・。サラリーマンのストレスが少しは解消されるかも。
インカ道に合流するとトレッキングももう直ぐ終わり。遥か昔、インカに思いを馳せる・・・。この道がインカの時代からあったのかは定かでないが見渡す自然には人の手が加えられた気配が感じられない。この景色は殆ど変わっていないのだろう・・・。
舗装された道路が見えて現実に引き戻される・・・。ここからの楽しみは湖で取れた新鮮なニジマスを食べること。トレッキングルートの出口の目の前に古い土壁の家が建っていて(一見
では、それがレストランなのかを確認できない。)家の前まで行くとダンボールに汚い字でレストランと書いてある。商売をする気が無いのか・・・?極端な面倒くさがり屋なのか・・・? 誰もいない店内に本当に美味しいニジマスが食べられるのか不安になったが、ニジマスは美味しかった。
心も、お腹も、充分に満たされて昨日の憂鬱もどこかへ行ってしまった。エクアドル最後の地は充分に楽しめた。出発前、名前しか知らなかったこの国が、今は、お気に入りの国の一つになった。僕達はガラパゴスに行っていないけどエクアドルは「安くて・綺麗で・面白い」まだまだ見所のある魅力的な国です。
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